「恋愛をしない人」の話

※注意※

あるドラマを見た感想です。

批判を含みます。不快に思う方のほうが多いかもしれません。

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気になっていたドラマを見た。

興味を持ったきっかけは「恋愛をしない人」が出ると知ったから。

彼女は素敵な男性から食事に誘われる。はりきった親友が「女らしい」おしゃれな格好に変身させた。

彼女は親友に「最高の夜だった」と伝えるが、実際には待ち合わせをすっぽかしていた。

「彼のことは好きだし、彼も私を好きになってくれると思うけど、

私が女で彼が男だから恋愛になってしまう。そうなりたくない。」

私も同じことを考えていたし、過去に同じことをしてしまった経験があった。

相手のことが嫌いではなくても、好意があったとしても、

恋愛になってしまうと対等な人間同士の関係を維持することは難しい。

その気がないなら断るべきだと思うが、断ったことによるトラブルの心配や、外野が盛り上がってしまったりということもありえる。

「（別の意味を含んだ）お友達になってください」だと断りかたがわからない。

こんな少数派のことを考えていたら何もできなくなってしまう、と言われてしまうと思うが、「恋愛をしない人」がいることを認識できているかどうかの違いは大きい。

「したくない」「する気がない」ではなく「しない」は理解されにくい。

他人から恋愛感情をもたれることや誘われることが無条件に喜ばしいことではない、ということだけでも分かってもらえないだろうかと思う。

「恋愛がある」前提での世界で「恋愛をしない人」のことを想像するのは難しい。

自分と違う立場や性質の人間のことを想像したり理解するのに、フィクションの役割は大きいと思う。多くの人が観ていたドラマで「恋愛をしない人」を登場させてくれたのは良いことだったと思うし、話を聞いた親友があっさり「そうなんだ」と答えていたことにも救われた。

そのドラマでは彼女は唐突に退場させられてしまう。

話を展開させるために。それしかアイデアがなかったから。恋愛なしで話を盛り上げられないからいらなくなってしまったんだろうか。と思ってしまった。

「多様性」の要素だけ取り入れてみた、というように感じてしまった。

この文章を書く上で登場人物を「彼女」と表記してしまったが、それが正しいのかもわからない。ドラマの中で、社会的にも身体的にも女性だったのだと思うが、それを本人が良しとしていたのかどうかははっきりしていなかったと思う。

誰にも見えていなかった、いないことにされていたものが可視化されるのは嬉しい。

ただ、物語を展開させる装置やアイテムとして消費されしまうことは悲しい。